不安神経症・パニック障害での闘病生活:心療内科の診察記録:「おかげさまで」の誤解
パニックの小さな発作が常に続いているような、心臓のプチバクバク、心身の緊張状態、強い不安感、寝汗、冷や汗、冷え、めまい、不眠、食欲不振、胃痛、頭痛ほかたくさんの症状とさらに薬の副作用が相まって、寝ていても全然疲れが取れなくて、だるくて、どうしようもない日々が続く
のを紛らわすために、編み物を始めてしまった。
なにかせずにはいられない焦り・不安感
なにもするなという心療内科の先生のいいつけは、聞けなかった。
苦しい状態をただなにもしないで寝ているのができなかった。
森田療法の絶対臥辱とは違うのだろうけど、あの状態で絶対臥辱なんてすごいことは絶対にできないと思う。家でゆったりして寝ていられないのだから。
編み物は、なにかしないではいられなかったために始めたのだと思う。
それが治療的によかったのか悪かったのかはわからない。ただ、ジャストでツボにはまったというか、編み物療法なるものがあるのもなるほどと実感したし、たぶん森田療法的にではなかったとしても、わたしには効果はあったと思う。
編み物をしている間は、あまりぐるぐると深く考え込んだりくよくよするのをやめていたようで、肩は凝るし首も凝るけれど精神的には少し安らいでいた。
そうすると、生活の中で、少し落ち着いていられる時間帯が発生したということになる。
ちょっとだけ幸せな時間が持てるようになったのだ。
このことは先生には内緒。
しばらくして、秋も深まり、冬に入る頃。
診察で、先生はいつもの言葉を言った。
「いかがですか?具合は」
いままで、うなだれて症状は訴えるものの生気はなく目は虚ろでほとんど何も言えずに終わっていた診察。
この時に、
「おかげさまで、なんとかやっています」
と言ってしまった。
おかげさまで、なんとかやっています
これは、わたしのキャッチフレーズと言ってもよいくらいの言葉で、ほんとうにこのフレーズにはいつもお世話になっている。
もともと、わりと人に気を遣うタイプで、人様に失礼のないようにと。。。
しかしながら、この大変な事件(パニック大発作から心療内科受診)では、このフレーズはさすがにまったく出てこなかった。
のが出てしまった。
考えてみれば、一般的に診察時には使うことの多い、無難といえば無難な挨拶文だとは思うけれど、この場合は用途というか解釈が違った。
「そうですか!それはよかったですね!落ち着いてきましたか」
と先生は大変うれしそうに言った。ので、ことが理解できた。
使い方を間違った・・・・。
誤解された・・・。
違います。具合は大変良くない状態が続いています。
と言えなかった。
「順調に回復していますね。もうしばらくお休みしていましょう」
大きな誤解が生まれた。
フォローできる会話はあるだろうか。。。
「眠れるようになりましたか?」
「なりません」
「食欲はどうですか?出てきましたか?」
「食べれません(ら抜き)」
気合いを入れて真剣に答えた(これだけだけど)。
が、あの一瞬の会話の機微を先生は逃さなかった。
良くなっていると思ってるのが伝わってきた。ちょっと嬉しそうにしているし。
わたしはよくなっていない!
先生は聞いていないようで聞いている。
先生は聞いているようで聞いていない。
診察問答は難しい。